【書評】作家の収支
2017/05/19
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一般的にお金を稼いだ人がそれをこと細かに報告するのは美しくないとされがちです。
今回読んだのはそんな風潮を真っ向から否定し、事実のみを淡々と書いた
森 博嗣「作家の収支」です。
1.森 博嗣ってどんな人?
1996年、38歳の時に国立大学の工学部助教授をしていた彼はお小遣い欲しさに副業として執筆を開始しました。
デビュー作「すべてがFになる」がドラマ化され、「スカイクロラ」もアニメ化されたのでご存知の方も多いかと思います。
総発行部数1,400万部、総収入15億円の人気作家ですが、決して派手な趣味はなく、テレビの映らないような土地に住んでいるようです。
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書評
初めに結論から言ってしまうと、この本めちゃくちゃ面白いです。
まだ2016年も始まって2ヶ月しか経っていませんが、個人的には早くも2016年1番面白かった本候補です笑
それではレビューしていきましょう。
本の内容はほぼ、小説家に関わるお金に関してのものとなっています。
小説雑誌などでは、原稿用紙一枚に対して、4,000円〜6,000円の原稿料が貰える。
僕は1時間40万円の講演料で依頼を受けている。
1時間半であれば60万円だ。
やたらと生々しい数字が出てきますが、小説家になろうなどと幼少期から今まで考えたこともなかった僕にとってはエンターテイメントとして非常に興味深く、感動の連続でした。
ただ絶望的なことに、彼は頭の中で再生される映像をただ文字に起こしているだけらしく、一時間に6,000文字(原稿用紙20枚)を出力することが可能なようなので、とても常人には真似出来ません。
その計算でいくと「すべてがFになる」は時給換算で100万円だったようですが凄すぎてもはやよく分かりませんね笑
それでももっと読みたいと、気付けば二時間足らずで読み終えてしまったのは他ならぬ著者の「正直さ」故かもしれません。
「テストで100点を取りました」は自慢ではないけれど「テストで100点を取りました。凄いでしょ。」のような自己満足を語り、他者の共感を誘うのは自慢。
「息子が東大に入りました。」のような自分が関係ない場合も自慢。
上記二つは本書で挙げられていた例ですが、まさにこの通りで本書の内容は全く自慢ではありません。
また、テレビや新聞も顔を出さないといけない場合は取材を断り、執筆活動に支障が出るような仕事は避ける、と非常に芯のしっかりした方で
凄く好感が持てます。
そんな彼が小説家という職業について収入の内訳、支出の内容(これはなくてもよかったかな)を赤裸々に語り、最後は今後の出版社のあり方や小説家がどうなるかについても言及しています。
僕は彼の作品を一つも読んだことはありませんが、この本から入ったことで非常に気になるようになりました。
次は「小説家という職業」「すべてがFになる」でも読んでみようと思います。
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